【イベントレポート】岩合光昭さんミニインタビュー

 

浦添市美術館で開催されている岩合光昭写真展「ねこ」(主催:沖縄タイムス社)。

ねこブームの牽引役ともされる岩合さんの写真をひと目見ようと、連日多くの人が訪れています。

去る722日(土)には岩合さんが来館。トークショーとサイン会が行われ、

開館前から行列ができ改めて岩合さんの人気ぶりを知ることとなりました。

今回はトークショー前に貴重な時間をいただき、

岩合さんにねこや沖縄の印象についてお話を伺いました。

 

 

 


ねことの出会いは高校生の頃。友人のねこに一瞬で魅了されました


 

「ねこ好きとしてはずいぶん奥手なんですけど(笑)、ねことの出会いは高校生の時です。

ある日、友人の家に遊びに行ったのですが、彼の家にはねこが28匹もいたんです。

彼がその中の1匹を彼の肩にのせて僕にねこを見せてくれたんですね。

そのねこの顔を見た瞬間にじわ~っと涙腺が緩んできちゃって涙が出てきたんですよ。

高校生の時にねこを見て泣いたなんて恥ずかしいですよね。

幸いねこの顔はこちらだけど、友人はこちらに背中を向けていたので

彼が振り返る前にサッと涙を拭いて泣き顔は見られずにすみました(笑)。

(涙が出た理由は)かわいかったんでしょうね。

ねこってそういう魅力というか魔力を持っている動物だと思いますね」

 

 

一瞬でねこの魅力に取りつかれた岩合さん。当時からすでに写真家を志していた岩合さんは、

19歳の頃に訪れたガラパゴス諸島で衝撃を受けたという。

 

「ガラパゴス諸島は、鳥が双眼鏡を使わなくても見える位置にいたりして、

動物が人間を怖がらないんですよね。本当にすばらしい場所でした」

 

以後、動物写真家としての道を歩み、数々の作品を発表。世界的に知られる存在となる。

 

 

そして岩合さんのイメージといえばやはり「ねこ」。

それを決定づけたのは2012年から放送が始まった『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHKBSプレミアム)。

 

「番組が始まってから、ねこのことを考えない日はないですね。毎日ねこの事を考えています。

番組で世界中のねこを撮影しましたが、ねこは人を見て暮らしているので

その土地の人と同じような雰囲気を持っています。

パリのねこはどこかちょっとおしゃれだったりしますね。

イタリアでは、パスタの食べ残しをあげる人がいて、

そのパスタを上手にすするねこがいて、とてもおもしろかったです」

 


沖縄のねこはのんびりでおおらか。沖縄のねこは大好きですよ


 

「沖縄のねこは、のんびりしてすごくおおらかですよね。ほんとに大好きですよ。沖縄のねこも人も。

世界的に見ても、ねこが住んでいる所は点』で存在しているんですけど、

那覇の例えば桜坂辺りなどはねこが住んでいる場所が『線』でつながっているんですね。

ねこがいっぱいいる地域はいい街だと思いますよ」

 


ねこの気持ちになってカメラを向けることが大切


 

ねこにカメラやスマホを向けると思った通りに撮影できない。

そこで岩合さんにねこを撮影する際のポイントを伺った。

 

「意識しすぎないことです。自分がどういう写真を撮りたいかじゃなくて、

ねこがどんな写真を撮られたいかを考えた方がいいと思います。

ねこの目の周りが汚れていたらちょっときれいにしてあげようね』と声をかけるとか、

気配りや気遣いが必要だと思います。

すぐ逃げたりして触れられないねこもいますけど、ご主人がそばにいるねこはだいたい触れます。

子ねこの場合だと、母ねこに挨拶するとすんなり撮影できたりします。

撮影するときにねこの気を引こうといろいろしない方が良いように思います。

僕はねこの自然な姿の方が美しくてきれいだと思っているので」

 

確かに番組を見ていると岩合さんは「やぁ」「いい子だね~」などとねこに優しく語りかけている。

 

 

最後に写真展に来られる方へメッセージをいただいた

 

「写真展に来ていただけるだけでうれしいんですけど、その中でお気に入りの一枚を選んでください。

そしてその写真がなぜ印象に残ったかを考えてくれたらと思います。

かわいいからとか、うちのねこにそっくりだからとか、理由はなんでも構いません。

なにか少しでも印象に残っていただけたらとてもうれしいですね」

 


インタビューの後、トークショーとサイン会が2回にわたって行われた。

ユーモアを交えながらエピソードを語る岩合さんのトークショー

1人1人気さくに言葉を交わしながら写真集にサインを入れる


 

 

岩合光昭写真展「ねこ」は93日まで開催中。

浦添市美術館(沖縄県浦添市仲間1-9-2)

 

開館時間:930分~17時(最終入館は1630分)

 

※金曜は19時まで(最終入館は1830分)

 

閉館日:月曜

 

入館料:一般800円、小中高生400円、未就学児は無料

 

 

インタビュー/伊東一洋(編集部)

 

写真/根原奉也